ケネディー行政大学院の政策分析演習
コンサルティング・プロジェクトというカリキュラムのモデルとなっているケネディー行政大学院の政策分析演習(PAE)についてご紹介します。
私たちが始めたコンサルティング・プロジェクトは、ハーバード大学のケネディー行政大学院の公共政策修士課程において実施されている政策分析演習(Policy Analysis Exercise: PAE)を一つのモデルとしています。コンサルティング・プロジェクトについて理解して頂くために、PAE について簡単に紹介してみたいと思います。
ケネディー行政大学院のPAEは、次のように説明されています。「政策分析演習は公共政策修士課程のカリキュラムの1つの頂点をなすものです。それはケネディー行政大学院で学んだことを総括し、それを実際に応用してみる機会です。」「政策分析演習が大きなチャレンジであることはケネディー行政大学院の伝説となっています。… それがチャレンジであることは間違いありません。しかし、卒業生の多くは、政策分析演習がケネディー行政大学院における経験の中で最も役立つものの1つであったと語っています。」
ケネディー行政大学院では、政策分析演習は2年次に約8か月かけ、定期的な教官の指導を受けながら、高いレベルの報告書を完成させることとなっています。そして特に水準の高い報告書に対しては、政策分析演習優秀賞が与えられます。また、ケネディー行政大学院では、このプログラムに関して長い経験を持っており、依頼機関からも高い評価を受けているといいます。
政策分析演習に協力してもらっている依頼機関が得られる便益について、ケネディー行政大学院は次のように説明しています。「政策分析演習は、クライアントである依頼機関に対して、なじみ深い問題に関して新鮮な視点を提供したり、十分な時間がないために考察できなかったような新しい問題を分析する機会を与えたりしてくれるでしょう。また、政策分析演習を通じて、クライアントは独立的な主体から政策アドバイスをうけることもできます。つまり政策分析演習は、貴組織に対して、有用で専門的な調査研究を小さなコストで提供することができるのです。」
このように、 ケネディー行政大学院では政策分析演習の制度がある程度確立されており、現在では、依頼機関やプロジェクトのテーマをインターネットを通じて随時募集し、データベース化しています。そして、学生は、数多く寄せられるプロジェクトの中から自分の関心に合ったテーマを選び、クライアントとの交渉を始められるという仕組みが出来ています。
最後に、ケネディー行政大学院における政策分析演習のテーマと依頼機関の例をいくつか紹介しておきます。なお、ケネディー行政大学院の政策分析演習については、以下のサイトで詳細な情報提供が行われています。
http://www.ksg.harvard.edu/PAE/
〜ケネディー行政大学院における政策分析演習のテーマ例〜
- 労働紛争における連邦政府の役割について(連邦政府)
- 技術革新に対応できる労働力を育てる手法について(Andersen Consulting)
- 途上国において金融機関はいかに再生利用可能なエネルギーへの民間投資を促すことができるか(Greenpeace International)
- 介護事業の見直し(Vinfen Corporation)
- マサチューセッツ州の小学4年生に対する学力向上のための歳出の効果について(マサチューセッツ州政府)
- ワシントンDCの空き地に関する必要度からみた評価(Brooking Institution)
- 市立大学の連携に関する市としての戦略(ボストン市長)
- 中国の軍事技術発達に関する評価(連邦政府)
- 日米安全保障の将来について(連邦政府)
- 韓国の国内債券市場を発達させるための努力の効果(世界銀行)
- 優良債および連邦債市場の発達とモラルハザード問題(Goldman Sachs)
- チベット貧困緩和ファンドの寄付集め戦略について(チベット貧困緩和ファンド)
- 南アフリカの国会は予算プロセスに対して如何に有効な影響を与えられるか(南アフリカ共和国議会)
- エクアドルにおける「ドル化」が持つ貧困効果の緩和について(ハーバード大学)
- テレビのデジタル化が公共放送に与える影響について(情報政策機関)
- 金融サービス産業におけるコンピューター犯罪への対応(FBI)
- アメリカ空軍の汚染浄化政策について(アメリカ空軍)