特色

1.プログラム

 国際・公共政策大学院は、表1のように、法律学・国際関係からのアプローチを主とする「国際・行政コース」と、経済学をベースとする「公共経済コース」の2つのコースからなります。そして、2つのコースはそれぞれ、「公共法政」・「グローバル・ガバナンス」および「公共経済」・「アジア公共政策」という2つのプログラムに分かれます。

 このうち、アジア公共政策プログラムは、アジアからの留学生を中心とした独立性の高いプログラムです。 すべての授業は英語で行われ、修士号(専門職)取得のために2年間を必要とします。 一方、他の3つのプログラムには、 すでに経験を積んだ社会人ならば、1年間で修士号を取得できるプログラムが用意されています。 また、グローバル・ガバナンス プログラムのように、大半の講義を英語で行い、留学生を積極的に受け入れるプログラムもあります。 定員は表1の通りですが、入学試験はプログラムごとに行われます。

 各プログラムが念頭においているのは、主として、 国家公務員、地方公務員、国際公務員、政府系機関、NGO/NPO、シンクタンクといった職種で仕事をしている社会人、そして、これらの機関で仕事をしたいと考えている新卒者です。 もちろん、言うまでもないことですが、政策に興味を持ち深く学びたいという希望を持つ人は、職種を問わずいつでも歓迎です。

2.教育・研究の特色

 次に、一橋大学 国際・公共政策大学院の教育・研究面での特色をあげておきましょう。

(1) 学生および教員の緊密な関係が生まれやすい少人数教育

国際・公共政策大学院の定員は毎年55名。しかも、新卒者、社会人、留学生をバランスよく選抜し、異なるグループ間での交流を通して、様々な政策課題について新鮮な議論が行われることを期待しています。一橋大学の伝統の1つは、教授と学生の関係が緊密なこと。国際・公共政策大学院においても、この伝統を守って行きたいと思っています。少人数教育こそ、真の政策のプロを育てて行くために不可欠な環境だと考えています。

(2) 日本語および英語による充実したカリキュラム

国際・公共政策大学院の科目は、日本語と英語による講義がともに充実しているのが特徴です。特に英語による講義の充実は、他の公共政策系大学院には見られない特徴だと思います。一定の英語力があると認められた学生は、英語の授業をどんどん履修して行くことができます。また、英語でのセミナーやシンポジウムなど誰でも参加できるものも多く、英語で政策問題について考える機会が数多くあると思います。日本にいながらにして、英語での講義やセミナーに数多く参加できるこの機会を是非積極的に活用して欲しいと思います。

(3) 法学、国際関係、経済学の融合を目指した教育

一橋大学 国際・公共政策大学院では、各種政策問題に対して、法学、国際関係、経済学などの枠組みを基に、多面的にアプローチします。学生は、自分の専攻を持つという観点から、所属する専攻・プログラムを選択しますが、様々なアプローチを学ぶことが奨励されます。実際、カリキュラムの中には、異なる学問領域に属する教員が共同して1つの科目を担当する「横断型科目」と呼ばれる科目もいくつか提供され、学生・教員が異なる視点から多面的に政策を議論する機会が設けられています。

(4) 政府および民間との交流に基づく政策研究

一橋大学の伝統の1つは民間との強い結びつきです。国際・公共政策大学院でも、政府機関のみならず民間機関との交流・連帯を通して、政策に関する教育・研究を行っていきます。民間シンクタンクからの講師を招いてのリレー講義、あるいは、インターンシップやコンサルティング・プロジェクトといったプロフェッショナル・トレーニングなど、民間の諸機関の力を借りて、民間の視点から政策を見ることができる人材を育てて行きたいと考えています。

(5) アジア太平洋地域における教育・研究の拠点形成

これからの日本にとって、アジア太平洋地域との連携が重要であることは、今さら言うまでもないことでしょう。私達はすでに、グローバル・ガバナンス・プログラムの核となる Program in International and Asia-Pacific Relations とアジア公共政策プログラムの核となる Asian Public Policy Program という既発の2つのプログラムにおいて、この重要な地域の研究者および学生と交流を進め、アジア太平洋地域における教育・研究の拠点となるための活動を積極的に推進してきました。これら2つのプログラムは、現在、一橋大学 国際・公共政策大学院の中に統合され、さらに広く拠点形成のための活動を続けています。